17.4. 脊椎動物の進化と多様性
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しかし、脊椎動物の内骨格は頭蓋骨と脊椎(背骨)という独特の構造を持っている 脊索動物の特徴
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胚の段階に現れ、時には成体にも見られる4つの重要な特徴を共有している
口のすぐ後の咽頭部にある一連のひだ
これらの特徴は成体では見分けにくい事が多いが、脊索動物の胚には必ず存在する
たとえば脊索はヒトの成体では脊椎骨の間にあってクッションとして働く軟骨の円盤という形で残っている 成人ではボディービルなどで腹部の筋肉の波打つ様子を強調しなければ、分節した筋肉構造はあまりよくわからない
脊索動物の基本的特徴が保持されると同時に、独特の特徴が付け加わる
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魚類
彼らは他のほとんどの脊椎動物とは対照的に、句と動かすためのちょうつがい状の骨構造である顎を欠いていた 現存のメクラウナギ類は冷たく暗い海底で死んだ、あるいは死にかけた動物を食べている
脅されると、体の側面の特殊な腺から大量の粘液を分泌する
最近ではメクラウナギの表皮がベルト、財布、靴などの材料に用いられているため、絶滅が心配されるようになった 彼らの中には顎のない口を吸盤のように使って大きな魚に取り付き、血液を吸い取る寄生生物となっているものもある
化石の記録から、最初の顎のある魚は4億7000万年前に進化したことがわかっている
彼らは2対の鰭をもち、すばやく泳ぐことができた
初期の魚は体長が最大10mにもなる活発な肉食者で、獲物を追い、肉片をかみとることができた
今日でも大部分の魚は肉食
サメ類のほとんどは流線型の身体、鋭い感覚および強力な顎を備えた高速泳者であるため、優れた捕食者 サメは視覚はあまり鋭くないが、嗅覚はきわめて鋭敏
それに加えて頭部にある電気感覚器によって、近くの動物の筋収縮によって生じる微細な電場を感知できる
身体の両側に感覚器官が1列に並ぶ
水圧の変化に敏感な側腺系によって、サメは近くを泳ぐ動物が起こす小さな振動を感知できる
約750種の軟骨魚類が現存していて、そのほとんどすべてが海生
魚類の大部分(約2万7000種)は、カルシウムによって強化された骨格をもつ 彼らも側腺系と鋭い嗅覚をそなえ、視覚もすぐれている 頭部の両側で、水から酸素を吸収する羽状の外部器官である鰓が収まっている区画を覆って保護している 鰓ぶたを動かすことによって、硬骨魚は泳がなくても呼吸ができる
サメ類は、鰓に水を通過させるには泳がなければならない
気体の詰まった袋
これによって多くの硬骨魚類は動きを止めることによってエネルギーを節約できる
サメ類は泳がなければ死んでしまう
硬骨魚の中にはうきぶくろと、消化管がつながっているものがあり、そのようなものでは水中の酸素濃度が低くなりすぎたときには空気を飲み込むことによって酸素を吸収できる
硬骨魚類は海及び淡水の生息場所に普通に存在する
鰭は、細くしなやかなひれすじによって支えられている
筋肉質の鰭が丈夫な骨によって支えられているのが特徴 南半球に現存する葉鰭類の1系統
肺魚類は、よどんだ池や沼に生息し、水面に出ては空気を肺に取り込む 深海に住み、1938年に「再発見」されるまでは数百万年前に絶滅したと信じられていた
シーラカンスは鰭を使って海底を這っていると考えれる
葉鰭類の第三の系統は淡水から移動して陸上に適応し、最初の陸生脊椎動物である両生類の進化の鍵を握る役を演じた 両生類
水中と陸上の両方への適応を混合して示している
ほとんどの種では殻をもたない卵が空気中ではすぐ乾燥してしまうため、水に頼って生きている
多くの時間を陸上で過ごせるが、卵は水中に産む
おたまじゃくしは脚がなく、水生で藻類を食べ、鰓があり、魚に似た側腺系と長い鰭状の尾をもつ カエルに変化するには、徹底的な変態の過程を経る
岸上に這い上がって陸上での昆虫食の生活を始める頃には、4本の脚をもち、鰓の代わりに肺があり、体表に鼓膜があり、側腺系はなくなっている しかし、成体になっても両生類が最も豊富にいるのは沼地や雨林などの湿った生息場所
理由の1つはガス交換に際して、肺の機能を補助するために湿った表皮が必要なため
したがって、比較的乾いた生息場所で適応したカエルでさえ、多くの時間を湿った穴や落ち葉の層の下などで過ごす
両生類は陸上に入植した最初の脊椎動物
彼らは肺、および筋肉と骨に支えられてある程度動かすことのできる強い鰭をもった魚に由来する
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化石の記録から、魚に似た祖先から4脚の両生類が進化したことがわかっている
爬虫類
両生類の祖先から羊膜類の進化には、陸上生活へのさまざまな適応が含まれる
このグループの名称のもとになった適応
羊膜卵は「池」の機能を果たすので、羊膜卵は生活環を陸上で完結できる
爬虫類の2つの陸上適応
うろこで覆われた水を通さない表皮
乾燥した空気の中での脱水を防ぐ
殻に包まれた羊膜卵
胚が発生できる水と栄養に富んだ環境を提供する
これらの適応によって祖先がしばりつけられていた水生の生息場所から解放されることができた
爬虫類は乾いた表皮を使って呼吸することはできないので、酸素は肺を通して得ている
鳥類以外の爬虫類
代謝による体温調節をあまり行わないので、ときに「冷血」動物と呼ばれる 彼らも体温調節は行うのだが、それは主として行動的適応によって
多くのトカゲは空気が冷えているときは日光浴をし、暑いときは日陰を探すことによって体温を調節している 食物を分解することによって熱を得るより、太陽エネルギーによって直接温めることで、鳥類以外の爬虫類は同等の大きさの哺乳類に比べて10%以下のカロリーで生きることができる
現在の爬虫類も繁栄しているが、中生代にははるかに広く分布し、数も多く、また多様化してて、中生代はしばしば「爬虫類の時代」ともいわれる その王国は6500万年前まで続いた
最も多様化した爬虫類のグループは恐竜類で、陸上最大の動物もその中に含まれる あるものは巨大だがおとなしく、重々しく動いては植物を食べ、あるものは貪欲な肉食者で、2本脚で大きな獲物を追いかけていた
爬虫類の時代は7000万年前頃から衰退し始めた
この頃地球の気候は冷たく、また変動が大きくなった
これが大量絶滅の時代で、恐竜類はただ1つの系統を除いてすべて絶滅した 生き残った系統の今日の姿が鳥類として知られる爬虫類のグループ 鳥類
かつては固有の綱(鳥綱 class Aves)に入れられていたが、最近では遺伝学的証拠によって獣脚類という小型で2本脚の恐竜の系統から進化した爬虫類であることが示されている しかし現在の鳥類は羽毛その他の顕著な飛行装備のせいで爬虫類とは全く異なって見える 現存する約1万種の鳥のほとんどは飛行できる
鳥の世界の評価は、すべて飛行についての理解にかかわっている
鳥の構造はすべて飛行が容易になるよう変形されている
骨は蜂の巣状の構造で、丈夫だが軽い
たとえば、グンカンドリという大型の海鳥は翼を広げると2m以上になるが、その全骨格の重さは約113gにすぎない 体重を軽くするもう1つの適応は、他の脊椎動物が持っている器官を持たないこと
たとえば雌の鳥では卵巣は1対ではなく1個しかない
現存の鳥は歯を欠いているがこれは頭部の重さを減らす適応
これによって制御不能な墜落を防ぐことができる
鳥は餌を口の中で噛むことはせず、消化管の胃の近くにある砂嚢ですりつぶす 飛行には大きなエネルギー消費と活発な代謝が必要
他の爬虫類とは異なり、鳥類は、一定の暖かい体温を保つのに、自身の代謝熱を使う
翼は航空機の翼と同じ航空力学の原理を生かしたものになっている 鶏肉で「白肉」(ささみ)とよばれる
ワシやタカなどでは、翼は気流に乗って滑空できるよう適応していて、たまにしか羽ばたかない ハチドリなどを含む他の鳥は、操縦性はすぐれているが、空中に留まるためには絶えず羽ばたかなくてはならない 羽毛は爬虫類のうろこと同じタンパク質からできている
最初は体温を保持する断熱材として機能し、後に飛行装備として適応したものと考えられる
哺乳類
羊膜類には2つの系統があり、1つは爬虫類へと続き、もう1つは哺乳類を生み出した
最初の哺乳類は約2億年前に出現した
おそらく小型で夜行性の昆虫食者であったと思われる
哺乳類は恐竜類の没落後に大きく多様性を増した
大部分の哺乳類は陸生
体毛は断熱効果で体温を暖かく一定に保つ助けになる
哺乳類の主要な3つのグループ
卵を産む哺乳類
カモノハシの雌は通常2個の卵を産み、巣で温める
孵化した子は母親が分泌したミルクを毛から吸う
これらの哺乳類では妊娠期間が短く、子は小さな胚の状態で産み出され、母親の乳首に吸い付いた状態で発生を完了する
発育中の子は通常母親の腹部にある体外の袋の中にいる
ほとんどすべての有袋類はオーストラリア、ニュージーランド、南北アメリカにいる
オーストラリアは、過去6000万年の間真獣類から隔離されていたため、有袋類が大きく多様化し、他の大陸では真獣類が占めた陸上の生息場所を占めるに至った
彼らの胎盤が有袋類の胎盤よりも緊密で長期間続く母親と胎児の結合をもたらすから
真獣類は現存の哺乳類5300種の95%を占める